★☆救う会全国協議会ニュース★☆
(2008.10.15)



★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2008.10.15)

家族会・救う会・拉致議連は、本日10月15日午後、首相官邸で河村建夫・内閣官房長官に面会し、麻生首相宛の3団体要請文(下記参照)を手渡し、懇談した。また、北の核申告について救う会から要請を行った。

官房長官は「(調査委員会)を立ち上げただけで結果が出なければ進展とは言えない」と明言して、調査委員会が立ち上がった段階ではエネルギー支援に参加することはないという方針を明らかにした。

「拉致の進展なくしてエネルギー支援しない」という従来の方針に変化がないと言うことは、麻生総理などにより明らかにされていた。しかし、北朝鮮がいわゆる「調査委員会」を立ち上げたとき、それを進展とみなしてエネルギー支援に参加するのかどうかについては、明確な方針が伝えられていなかった。

今日の要請は、官房長官の一歩踏み込んだ発言を引き出せたという点で一定の成果があったと言える。

制裁解除と対北支援に反対し追加制裁を求めるという強い立場で、政府の動きを注視しつつ議連とも一層連携して運動を続けていきたい。

面会に先立ち3団体役員会が開催され、斎木昭隆アジア大洋州局長から米朝協議の経過などにつき説明を受けた。

役員会での論議を踏まえて平沼会長が会見で「米国の指定解除を受け、我が国としてより強い対応をしなければならない。米国の金融制裁が効果を上げたことを踏まえて、議連として追加制裁の具体的内容について金融制裁を含めて検討していく。また、米国のテロ支援国指定は解除の45日前に議会に通告することになっている。我が国の制裁法(特定船舶入港禁止法、改正外国為替・貿易法)においても、政府が一度かけた制裁を解除する場合には事前に国会に通告して了解を得ることを義務づける法改正についても検討する」と語ったことも、今後の制裁強化に向けて大きな足がかりと言えよう。

要請文の全文と懇談概要は以下の通り。

■米の指定解除に日本独自の対応を−政府に要請

3団体は、米国が北朝鮮に対するテロ支援国指定を解除した事態に対し、日本政府のより厳しい対応を求めた。

河村官房長官は、「指定解除の局面を迎え、ご家族はご不安があると思う。政府はきちんと受け止めている。要請をきちんと受け止めて、総理に伝えたい。政府としては、一刻も早くすべての被害者を取り戻す決意である。解決なしには正常化もありえない。対話と圧力の姿勢で最大の努力をする。進展がなければエネルギー支援はしない。今日の予算委員会終了後、2回目の拉致対策本部会合を開催する。新しい閣僚も参加するので意思疎通をはかりつつ、麻生総理を先頭に、実現に向けて努力することをお誓いする。全力で取り組むことを約束する。」「第一に権限が与えられた委員会が作られること、第二に、それが報告につながること、それまでは制裁が続く。核の問題もある。アメリカも日本の立場を理解している。核と拉致共に進展させたい」などと語った。

その後、要請の第2項に関わる家族会・救う会の質問に対して、「拉致問題の進展」の定義はこれまでと変わらない、とした上で、「(調査委員会)を立ち上げただけで結果が出なければ進展とは言えない」と明言して、調査委員会が立ち上がった段階ではエネルギー支援に参加することはないという方針を明らかにした。

参加者は、家族会=飯塚繁雄、有本明弘、増元照明、救う会=西岡 力、平田隆太郎、山岸丈良、拉致議連=平沼赳夫会長、古屋圭司事務局長。政府側からは、河村建夫・内閣官房長官、中山恭子拉致問題担当首相補佐官、林景一副長官補等が参加した。

官房長官との面会に先立ち、拉致議連・家族会・救う会は、役員会議を開催した。役員会議には、外務省から、斎木昭隆アジア大洋州局長、山田重夫北東アジア課長等が参加し、米朝協議の結果などについて説明した。

斎木局長は、米国による北朝鮮のテロ支援国家指定解除の経過を説明し、米国は、「指定解除の効果は基本的に象徴的なものであり、ほとんどの制裁は他の法令に基づき残ることとなると説明している」と報告した。

また、日米韓の調整において、日本側が、検証実施となって問題が生じることがないよう文書で確認することが重要であることを繰り返し指摘し、結果として米国が日本の懸念を共有するに至り、10月11日の国務省発表では、「米朝間の合意を6者間の正式な合意として文書化すべきとの日本の問題意識を共有していること、その点についても米朝間の合意に含まれていることにつき言及があった」と紹介した。

質疑応答では、「米国は当初、全ての核兵器開発計画を完全に、不可逆的に、かつ検証可能な形で廃棄すべきと主張していたのになぜハードルを下げたのか」、また、検証に関する米朝合意の中で、「双方の合意に基づき」とある点につき、これでは「北朝鮮に拒否権を与えたも同然で、検証の放棄ではないか」との質問がなされた。斎木局長は、「安保理決議があれば強制検証も可能だが、一般論では、どこの国でも相手国に入る場合は、受入国の同意がなければ入れないものだ」
と回答した。

また、専門家たちが指定解除に強く反対する意見を述べていたことに関し斎木局長は、「達成すべき目標に対し手段として十分かとの批判を持つ人が多いことは承知しているが、6月26日に米国政府が議会に対し解除通告をして以来、45日間の猶予があったにも関わらず米議会に何の動きもなかった。これはアメリカの問題だ」と述べた。

さらに、「指定解除をして北朝鮮に核保有を認めアメリカにどういうメリットがあるのか」との質問に対し、斎木局長は、「クリントン政権時代の2者協議の反省に立ち、6者の枠組みが作られた。段階を踏んで非核化に向けて一定の行動をとらせることが、少しずつ進んできた。もちろん不十分だが、さらに進めることで非核化を達成するというのが各国の基本的スタンスだ。後戻りしないよう検証の枠組みを作りたいというのが5か国の利益だ」と述べた。この説明に一部の議員から批判があった。


◆要請文全文

平成20年10月15日
内閣総理大臣 麻生太郎 殿
北朝鮮による拉致被害者家族連絡会 代表 飯塚繁雄
北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会 会長 藤野義昭
北朝鮮に拉致された日本人を早期に救出するために行動する議員連盟 会長 平沼赳夫

要 請

米国政府が北朝鮮へのテロ支援国指定を解除した。拉致という現在進行形のテロが未解決であることを知りながら、解除を強行した米国政府に遺憾の意を表するものである。

米国は1988年の指定開始以来、拉致を理由にしていなかった。家族会・救う会・拉致議連をはじめとする関係者が2001年以来、必死に働きかけ、2004年から拉致が明記された。その結果、米国のテロ支援国指定を拉致問題解決の圧力として活用できるようになった。

それが4年半経過して解除に至った。米国政府は、今回拉致問題の重要性を理解していると繰り返し表明した。それをぜひ行動で示していただきたい。

一方、我が国政府はこの間「拉致はテロだ」となかなか明言しないなど、解除に強く反対するメッセージをきちんと出してこなかった。それが今回の事態を許した大きな要因だ。強く反省を求めたい。

我が国政府は、解除により拉致問題解決の圧力が一定程度弱まったことを直視し、拉致問題の解決に向けた不退転の強い決意を表明すると共に、金正日政権が「拉致問題を解決しなくても日本の制裁が弱まり支援が開始される」と誤解しないように、次のことを緊急に表明していただきたい。

1.昨年6月、自民・民主・公明3党の賛成で成立した改正北朝鮮人権法の「政府は、拉致問題の解決の改善に資するものとなるよう、国際開発金融機関に対する適切な働きかけを行わなければならない」との規定に従い、北朝鮮が拉致問題を解決させないままアジア開発銀行や世界銀行などからの支援を企てた場合に、我が国は強く反対してこれを阻止する。

2.我が国が6者協議合意に基づくエネルギー支援に参加する条件は、従来通り「拉致問題を解決するという日朝双方の共通認識があり、その前提で北朝鮮が具体的な行動をとること」である。北朝鮮側が約束したとされる「再調査」なるものは元々必要がないもので、「調査委員会」を立ち上げただけで、支援に加わるようなことがあってはならない。

3.現在の北朝鮮に対する制裁を、すべての拉致被害者の帰国まで継続することはもとより、北朝鮮の拉致問題に対する不誠実な対応に対し、追加制裁を発動し、不退転の決意を表明する。

◆救う会からの要請(追加)

平成20年10月15日
内閣官房長官 河村建夫 殿

北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会
会長 藤野義昭

核施設検証問題について要請(追加)

今回の米朝合意は、北の核申告に含まれない疑惑施設は、あくまで「双方の同意に基づいて」検証すると北に拒否権を与えている。これは、事実上、検証の放棄に他ならない。

日本政府は、今回の米朝合意を六者の場で追認せず、「未申告の施設についても、国際原子力機関(IAEA)が必要と認める場合、北は査察を受け入れる」との対案を提出するなど、原則的姿勢を強く打ち出していただきたい。


◆コメント

家族会・救う会は、10月2日に官邸で河村新官房長官に面会したばかりであったが、米国のテロ支援国指定の解除という新たな事態を受け、再び官房長官が面会に応じてくれたこと、また10月2日には、麻生首相も途中から参加してくれたところをみると、麻生内閣の拉致問題に対する意気込みは感じられた。問題は、行動である。米国が圧力カードの一枚を切った現在、日本としては、従来の制裁を維持・継続するというだけでなく、より厳しいメッセージを送ることが求められる。

ミサイル連射・核実験に対応した制裁はなされたが、拉致問題に対する不誠実な対応が続いていることを理由にした追加制裁が今こそ求められる。本日夕刻、2年ぶりに首相と全閣僚が参加する拉致対策本部会合が開催されたが、「拉致問題が進展しない限り、北朝鮮へのエネルギー支援に参加しないことなどを申し合わせた」との報道があった。これは、河村官房長官の発言通りで歓迎すべきことであるが、追加制裁の検討など従来より踏み込んだメッセージを北朝鮮に送ってほしいものである。

なお、終了後の救う会への連絡では、民主党は拉致問題対策本部会合を来週早々に開催し追加制裁の項目を決めたいとのことであった。

斎木局長は、「指定解除の効果は基本的に象徴的なものであり、ほとんどの制裁は他の法令に基づき残る」と米国が説明していることを紹介したが、その説明に安住することなく、日本としてどう対応するかが問われているのではないだろうか。また、政府は、6者協議を見守っているだけで、拉致問題を解決できるのか、北朝鮮を非核化できるのか、という国民の不安に応えるべきではないか。
(平田隆太郎)






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