★☆救う会全国協議会ニュース★☆
(2008.06.14)



ここから先が本当の交渉−斎木局長が日朝協議報告(2008/06/14)

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9月11日、12日に実施された日朝実務協議に日本側団長として参加した外務省の斎木昭隆アジア・大洋州局長から、家族会・救う会・調査会が13日夜報告を受けた。斎木局長からは、約25分にわたり以下の冒頭発言があった。また、家族会の飯塚繁雄代表より、冒頭以下の発言がなされ、その後の、質疑応答を含め1時間40分の報告会となった。以下はその冒頭部分である。

■ここから先が本当の交渉−斎木局長が日朝協議報告

斎木局長

北朝鮮に対し、今一度大きな決断で拉致問題の解決を最終的にはかるべきだと述べてきた。また、別室で数回、団長同士二人だけの話し合いをもった。北朝鮮側からのこれまでの説明は受け入れることができないことを伝えた。北朝鮮は、6か国協議の枠内で日朝関係を前進させることに同意していること、共同声明などの文書にも明記されていることを強調した。そして、今の話では納得がいかないと述べた。そして、今日きちんと具体的な行動を約束すべきと強く申し入れた。通訳だけがいる別室で、団長同士で激しいやりとりだった。

北朝鮮は、現在「拉致問題は解決済み」という立場をとっているが、今回はその言葉は出なかった。別室で、「解決済み」を変更し、改めて調査するところまでとりつけた。さらに、再調査ということで、「解決済み」の立場を変えたことでいいかと問い、「いい」という確認をとった。また、単に調査をするだけではだめだということ。これまでの調査は納得がいかない結果だったことを伝えた。我々は何度も同じことを提起している。同じことを繰り返すだけではだめで、拉致被害者の帰国につながる調査を、すみやかに行うべきと要求した。

6か国協議の共同声明の中に、「言葉対言葉」、「行動対行動」とある。相手が一歩前に出れば、こちらも一歩前に出るが、一歩後退すればこちらも一歩後退する。それはよく分かっているかと聞いたら、「分かっている」とのことだった。再調査もその精神で行うよう申し入れた。やりとりの結果、私の主張を受け入れた。

よど号犯引渡しについては、何度も要求してきたことであり、改めて要求したということだ。先方は、受け入れの経緯に関して、「犯罪人として受け入れたわけではない。法律に従って居住を認めた」と言った。「引渡し」という言葉に否定的反応を示したが、別室でのやりとりを受けて、「解決のため協力する」となった。しかし、具体的な詰めはこれからである。

北朝鮮の約束に対し、「言葉対言葉」、「行動対行動」に照らして、さらに一歩踏み出すとして話した。そして、団長同士の(約束の)パッケージとして持ち帰り上層部にはかることで了解した。

日本側は、制裁の一部解除として、@人的往来の規制解除、Aチャーター便の規制解除、B人道支援物資目的に限定した北朝鮮船舶の入稿許可を行うというものだ。但し、食料や医薬品などの人道上の物資に限り、乗組員の上陸は認めない。だれかが乗船することも認めない。これにつき先方が了解した。


皆様からすればご不満、ご批判が多々あろうかと感じる。責任者として北朝鮮とは数年のやりとりの経験があるが、私の経験も踏まえ、全力を尽くしたつもりだが、結果には責任を感じる。ご批判派甘んじて受ける。

一つ申し上げると、昨年9月、モンゴルで日朝政府間交渉以来長く交渉が止まっていた。交渉の足掛かりをもう一度作るため、「行動対行動」の原則に則り合意を作ったつもりだ。止まっていたプロセスをもう一度前に進めねばならない。交渉しないことには拉致問題も一歩も前に動かない。早く交渉して最終的解決をしなければと思っている。北朝鮮に、最終的解決をはかろうと言った。今一度大きな決断をすべきだと。具体的行動で示すべきで、そうでなければうちはやらないと伝えた。

次の折衝をいつ、どこで行うかは決めずに帰った。今後細目を詰める必要がある。先方の言ったことを私なりに理解すれば、このままでは日朝は厳しい状況になると上層部が思い、アメリカの圧力もあったために交渉に踏み切ったと思われた。

この動きをうまくとらえ、本来の目的のため、精力的な交渉をすすめたいと考えている。ご不満は多々あろうと思うがご理解を頂きたい。決して目的達成からそれ、お気持ちをふみにじるような交渉はしない。ここから先が本当の交渉と思っている。先に進める機が熟していると認識している。

飯塚代表

大変な協議でご苦労様。この協議に期待を持っていた。今まで何もなかったので実務的な協議を実施することで前進がはかられると思う。「一歩踏み出すこと」はその通りと思う。しかし、心配も多くある。

一つは再調査だ。問題は、本当に帰国につながる」かだ。北朝鮮だけがやることではなく、日本がフォローし、共同しつつ被害者の帰国につながる再調査が必要だ。これまでの再調査は「探したけどいなかった」というものだった。北朝鮮が「解決済み」を撤回したのは前進と考える。しかし、「被害者はもういない」と強く言っていたのを180度変えた背景は何だろうか。そんなに簡単に事が変わるだろうかとの懸念がある。

制裁措置の中で、一歩に一歩ということだが、解除は時期尚早と考える。再調査をし、帰国につながる情報が入った時が前進で、それが進展という成果につながると思う。あまり簡単にカードを切らないでほしい。これからが大事だが、本当に帰国につながる結果を出してほしい。早い時期に互いに対応してほしい。

よど号犯関係は、被害者の帰国に結びつくのか。何もでないことも懸念される。犯人と被害者が一緒にすべて帰るならいいが、あまり大きな要素ではないと思う。絶対に後には引かない、そして調査を完全にする要求をしてほしい。

◆懇談概要とコメント

被害者家族は、斎木局長の努力に敬意と謝意を表しつつ、以下のような冷静な質疑応答が続いた。

「再調査」については、過去に木で鼻をくくったような北朝鮮の対応が続いてきていただけに家族会などから懸念の声が多くあがった。これに対し斎木氏は、「解決済み」を撤回させ交渉の契機を作れたとし、解決につながる「再調査」でなければならないことを繰り返し要求したこと、「行動対行動」の原則で一歩下がればこちらも一歩下がることを伝えたこと、「再調査」というのは「やり直せ」という意味だと述べ、交渉は始まったばかり、北朝鮮側の出方を見たいと期待をこめた。また、日本政府の「解決」と「進展」の定義につき疑問が提起された。日本政府は、すべての拉致問題が解決することを前提にし、一部の動きが始まることを「進展」と定義したが、拉致問題について何の前進もないままに制裁の一部解除が行われるということは、定義を変更したのかという質問に対し、斎木局長は「定義はいっさい変更していない」と回答した。しかし、家族の間には、「『行動対行動』というならば、日本側が先に制裁の一部解除を行うのはおかしい」との疑問表明がなされた。斎木局長は、「自分も結果に満足していない。あの国との交渉はフラストレーションを感じるばかりだったが、押したり引いたりせざるをえない。不正常な状態が続いている国同士の交渉だから、結果を出すためには相手をその気にさせることからはじめなければならない」等と述べた。家族会からは、「まいた餌を食い逃げされないようにお願いしたい」との発言があった。

救う会からは、「米国に、拉致をテロと認定し、北朝鮮をテロ支援国家と指定するよう働きかけ実現するには大変な努力があった」、「従って、一部制裁解除は小さなカードではなく、大きなカードである」、「今は制裁を強化すべき時期であり、北朝鮮への締め付けが一番厳しい時期にカードが切られてしまった」との認識を述べた。

不安や疑念は残るものの、今は交渉の行方を見守るしかないと多くの家族が述べた。賽は投げられた。今後は、北朝鮮の対応と今後の交渉の行方を見守るしかない。しかし、北朝鮮にも大きな課題が残った。北朝鮮がもし拉致問題で誠意ある対応をせず、「再調査で」、「調べたがいなかった」等と重ねて不誠実な対応を行った場合は、そして早急な対応をせず、いつまでも対応を引き伸ばそうとした場合は、国民あげて怒りの意思を示すような国民運動を行わなければならない。また、米国が安易にテロ支援国家指定解除に動かないよう懸命の働きかけが引き続き必要となる。(平田隆太郎)


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