★☆救う会全国協議会ニュース★☆
(2018/05/08)



★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2018.05.08)

 下記は5月3日にニューヨークの国連本部の会議室で開催されたシンポジウムにおいて、家族会の飯塚耕一郎さんが報告した全文です。

■国連本部で飯塚耕一郎さんが訴え(全文)

 本日はこのシンポジウムにお集まり頂き誠に有難うございます。

 またボイントン氏におかれましては司会・モデレーターの大役を担って頂き誠に有難うございます。

 私は日本から来ました飯塚耕一郎と申します。

 私の母は、私が1歳の時である40年前に北朝鮮工作員に拉致され、北朝鮮に連れ去られ、それ以降日本に帰れずにいます。

 その為、私に母の記憶がありません。母と会話した記憶がありません。母に触れた記憶もありません。

 母の名は田口八重子と言います。拉致当時22歳だった彼女は、働きながら一人で、1歳だった私と3歳の姉を育てていました。そんな時に、彼女は北朝鮮の工作員によって突然、拉致されたのです。

 彼女と私とのつながりを示すものは、赤ん坊だった私に彼女が微笑み返す1枚の写真だけです。私は1歳という時期に、拉致という行為によって大切な母親との絆を引き裂かれ、今もその状態が続いているのです。

 2002年9月に北朝鮮と日本との間で首脳会談が開催され、北朝鮮は母を拉致したことを初めて認め、安否については「交通事故で死亡した」と説明しました。その一報を聞いた私は、一度も見たことのない母に永遠に会えなくなったのかとひどく落ち込みました。その時の気持ちは言葉ではうまく言い表せません。ただとめどなく涙があふれてきたことを覚えています。

 しかし、事実は違いました。「田口八重子、死亡」の情報は根拠のないものでした。当時、北朝鮮は「田口八重子さんは交通事故で死亡した」と伝えてきましたが、北朝鮮が示した「死亡診断書とされる資料」は捏造されたものでしたし、「交通事故の報告書」という資料に田口八重子の名前はありませんでした。

 北朝鮮による安否説明には多くの矛盾や誤りがあるのです。それは日本政府の調査でも明らかになっていることです。私は、北朝鮮が根拠のない架空のストーリーを作り上げ、母を死亡したことにし、その存在を隠蔽しようとしたと考えています。

 彼女は今も北朝鮮で生きています。

 彼女は今も北朝鮮で救出されることを待っています。

 私の家族のような日本人が北朝鮮に拉致されたケースは、日本政府が認定しているだけでも17人に上ります。このうち5人は帰国を果たしましたが、まだ12人が帰国できていません。本日こちらにいる横田拓也さんのお姉さんである横田めぐみさんのように13歳という、信じられない若さで拉致されたケースもあります。また、それ以外にも、北朝鮮に拉致された可能性がある日本人は数百人に上るとされています。

 北朝鮮は、未帰還者12人については「8人死亡、4人未入国」と説明していますが、いずれの説明にも不自然な点や矛盾点が多くあり、死亡を裏付けるものは何もありません。例えば北朝鮮は、2004年に「横田めぐみさんの遺骨だ」とするものを出してきましたが、日本政府による鑑定の結果、本人ではない別人のDNAが検出され、遺骨はめぐみさんのものではないことが明らかになっています。

 更に、北朝鮮による拉致事件は日本だけに留まりません。帰国した日本人拉致被害者などの証言から、日本以外にも、韓国、タイ、ルーマニアなどの国民が北朝鮮に拉致された可能性があるとされています。また、2014年2月に公表されたCOI報告書では、マレーシア、シンガポール、フランス、イタリア、オランダ、中国といった諸国にも拉致被害者が存在するとされており、北朝鮮による拉致問題は国際社会全体の人権問題なのです。また、アメリカにおいても拘束された3名と拉致被害者がいます。

 これまで、北朝鮮の核実験やミサイル発射検証などの平和への脅威に注目しがちですが、人の命が脅かされ続けているこの拉致問題を忘れてはならないと思います。
人の命が核やミサイルより軽いということが有ってはならないのです。

 拉致事件の発生から、すでに30年~40数年が経っています。被害者家族の中には、今日来場されているワームビアのご家族のように、被害者との再会を果
たせぬままこの世を去った親や兄弟もいます。これほどの悲劇はありません。

 失われた時間は戻ってきませんが、帰りを待ち続ける家族も高齢化しています。
拉致問題はもはや、これ以上時間をかけていい問題ではないのです。

 今後、近い未来において、史上初めて米朝首脳会談が催されます。

 先日トランプ大統領には、拉致被害者の帰国についてこの首脳会談で北朝鮮に提起する約束を頂きました。

 この提起により、2002年9月以降初めて北朝鮮の首脳自身が拉致問題を改めて見つめ直すこと、そして拉致被害者の帰国が、北朝鮮も含め全ての国の幸せに繋がるという理解が得られることを願っております。

 最後に、トランプ大統領及びアメリカ政府におかれましては昨年の日本での我々拉致被害者家族との面会、今回の米朝首脳会談における拉致被害者帰国への問題提起の約束など、拉致問題に対して多大なるご理解と協力を頂き、感謝に堪えません。

 被害者の帰国、つまり再会の時まで引き続き、ご協力賜りますようお願い致します。

 ご清聴有難うございました。

以上


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