■北朝鮮特別調査委員会立ち上げ1年半と核実験‐家族会・救う会会見
本日、1月7日、家族会・救う会は、記者会見を行いました。以下はその概要です。
北朝鮮が特別調査委員会を立ち上げてから、今年1月4日で1年半が過ぎましたが、拉致問題については何の解決もできていません。また昨日、北朝鮮は「核実験を行った」と公表しました。
家族会から、飯塚繁雄代表、横田滋・早紀江前代表夫妻、救う会から西岡力会長、平田隆太郎事務局長、山岸丈良事務局次長が参加しました。
■北朝鮮特別調査委員会立ち上げ1年半と核実験‐家族会・救う会会見
◆核実験の暴挙があっても、拉致問題を遅らせるな
飯塚繁雄(家族会代表・田口八重子さん兄)
北朝鮮が立ち上げた特別調査委員会については、私たちは「報告は要らない、拉致被害者を返して」と訴えてきましたが、何の動きもないままに年が明けてしまいました。
北朝鮮は3年前にも核実験をしました。若干の制裁もありました。我々は、拉致を理由に制裁をしてほしいと言ってきました。しかし政府は、日朝協議が始まったことを「行動」として一部制裁を解除しました。協議を行うことは「行動」ではないのに制裁を解除したことは遺憾に思っています。
どんな状況下にあろうと、拉致問題の解決と早期帰国が最優先と訴えてきました。核問題により拉致問題が置き去りにならないようにしてもらいたいと思います。拉致問題を前に進め、最優先でやらなければならないと思っています。
核問題により、拉致問題が遠のくという話もありますが、そうはすべきでない。拉致問題はどんな状況下にあろうと最優先でやってもらいたいと思っています。北朝鮮の核実験の暴挙があったとしても、拉致問題を遅らせることがないように対応してほしい。
「拉致・核・ミサイル」の包括的解決と言いますが、国際社会は拉致問題をそれほど重く受け止めていないと感じています。日本が独自に強く動かないと消えてしまいます。
昨日の家族会・救う会緊急声明で、「拉致問題と核問題を共に解決するという姿勢を堅持する」よう政府に求めました。
横田 滋(横田めぐみさん父)
テレビで核実験による地震について報道していました。韓国では地震はほとんどないが、ゼロではないと聞いたので、そうかと思いました。
◆北朝鮮は拉致でも核でも悪いことをしている
横田早紀江(横田めぐみさん母)
この度北朝鮮は核実験の暴挙に出ましたが、私たちは長い期間救出運動をしてきており、北朝鮮は4回も核実験をしています。また北朝鮮は嘘を言い続けてきています。そういう中で、子どもたちがどうしたら帰ってこられるのか、たまらない心で、政府に帰れるようにしてほしいと言ってきました。
北朝鮮は国連との約束を破棄して、平然と核実験をしています。そういう国が罪のない人を拉致し、いいなりのことをやらされています。北朝鮮は拉致でも核でも悪いことをしていることを、世界が少し分かってきました。ここまで長い年月がかかりました。今年こそチャンスだと思います。国連、国際社会は強く動いてほしいと思います。
そして平和的な形になるように交渉してほしいと思います。常識が通じない国なので、どうしたら効果的になるのか、知恵を働かせてほしいのです。みんなで一つになって北朝鮮に向かい、もっと平和的になるために、今こうやってほしいということを言ってほしい。
◆安保理制裁に拉致を含む人権問題も理由に
西岡 力(救う会会長、東京基督教大学教授)
核実験も暴挙ですが、特別調査委員会立ち上げ1年半で一人も帰って来ていないのも暴挙です。今国際社会で北朝鮮に対する制裁の議論が高まっています。安保理が拉致と核の両方に制裁をかけるよう政府は努力してほしいと思います。当然独自制裁も発動すべきです。
北朝鮮が2006年に1回目の核実験を行った時、日本は安倍政権で、たまたま安保理の議長国でしたので、草案に「拉致問題を含む人道問題に留意し」と書きましたが、中国の反対で「拉致問題を含む」が削除されたことがあります。しかし、その後の議長ステートメントで大島大使が、「拉致問題を含む」人権問題と述べています。
しかし今、国連総会の決議を受けて安保理が北朝鮮の人権問題を初めて議論しました。日本は今年非常任理事国なので、人権も理由に実効的な制裁をかけるよう働きかけてほしいと思います。また拉致の責任者を国際刑事裁判所に訴追できるようしてほしいと思います。
また、国際社会が貿易の全面停止を決め、その理由に拉致を含む人権問題を入れてほしいと思います。これが成功すると、世界の圧力を使って拉致問題を解決できるようになります。
【質疑応答から】
横田滋 北朝鮮の特別調査委員会は拉致を最後に報告しようとしていますので、やる気がないと思います。外務省も北朝鮮に強く言わないので、政府がやり方を変更してほしいと思います。
横田早紀江 この前担当大臣と会った時、強く言わないやり方ではまた1年経ってしまいますよ、と申し上げました。
40年人の命をほったらかしにされ、被害者は北朝鮮でうめいています。生きていられないような状況にあることを政府の人は感じとってほしいと思います。
(核実験のニュースを聞いて)また同じことをやっているなと思いました。
今年を解決の年にしてほしいと思います。国際社会でも拉致を知らなかった人たちがかなり知るようになってきました。今回の核実験を世界中の人が見ています。北朝鮮が悔い改めて、被害者を親元に返すことで、人道援助など温かい交流ができるようにしてほしいと思います。
飯塚繁雄 (制裁を強化しても効果があるのかとの議論もあるがとの質問に対し)これまで弱い姿勢だったので長い間被害者が苦しめられた。今回は強い制裁をしてほしい。北朝鮮が困るようにしなければならないと思います。
けんかになるかもしれないし、日朝協議が遮断されるかもしれない。しかし、早期解決がすべてですので手段はきつい方がいい。北朝鮮に決断させる、決裁させること。そうしないと利用されるだけです。
「今でしょうか」という言葉がありますが、今やらないといけないと思います。
西岡 北朝鮮は昨年4月2日にも脅してきました。これは総連の議長、副議長の家宅捜索を受けてのことです。しかし、翌日安倍総理は、「拉致問題を解決しなければ、北朝鮮が未来を描くことはできないと認識させる」と述べました。そして逮捕、起訴し、有罪にしましたが、日朝の交渉は続いています。
制裁が効いているから交渉をやめないわけです。北朝鮮は痛みがある間しか交渉しないのです。そして出口に何があるか。この両方がある時に交渉します。拉致・核を解決しないと未来はないぞと圧力をかけるべきです。
日本の北朝鮮に対する制裁の水準は国際社会の制裁水準より高いのです。国際社会は軍需品、ぜいたく品の貿易禁止だけです。北朝鮮が嫌がるのは、国際社会の水準が日本並みになることです。
またこれまで国連は人権問題で制裁をしてことがない。今回中国が拒否権を使うかどうかですが、北朝鮮の核実験を相当嫌がっているので拒否権を行使しない可能性もある。これは北朝鮮にダメージです。国際社会が日本並みに貿易を全面禁止したら大きなダメージになります。そして制裁の理由に拉致を含む人権問題も入れてほしいと思います。核だけを理由とする制裁では我々にはマイナスです。
当然日本がまず制裁をした上で国際社会にも訴えるべきだと思います。自民党が13項目の制裁案を出していますので全部かけるべきだと思います。現行法でできない制裁については新法も考えてほしい。特に、核開発やテロを厳しく取り締まる新法を検討すべきだと思います。
司会(平田事務局長)
1月21日に、友愛会館で「『再調査』から1年半、全被害者を返せ緊急集会-拉致と核を理由に強力な制裁を」を行います。詳細は追ってご連絡します。
以上
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発行:北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)
TEL 03-3946-5780 FAX 03-3946-5784 http://www.sukuukai.jp
担当:平田隆太郎(事務局長 info@sukuukai.jp)
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