「拉致問題について40カ国の大使館を訪問して思うこと」

北朝鮮に拉致された日本人を救出する埼玉の会 代表 竹本 博光



 今年になって、地方の救う会や志ある仲間達で東京にある外国大使館に対し、より拉致問題について深く理解していただき、すべての拉致被害者(以後特定失踪者を含む)の救出に向けての協力依頼や北朝鮮の首都ピョンヤンに大使館を持っている各国には拉致被害者が各国大使館内に救出を求めてきた場合は保護していただけるよう要請する活動を継続してきました。

 具体的に訪問した国は、北朝鮮と国交のある国々及び主要国で、訪問した40￿カ国のうち半数以上がヨーロッパの国々です。ほかには、アメリカ・ロシア・オーストラリア・カナダ・ブラジル・モンゴル・韓国・インドネシアなどで、多くの大使館で大使・公使・参事官らが丁寧な対応をしてくれました。

 各国大使館にて、拉致被害者は政府認定の17￿名だけではなく、北朝鮮による拉致を否定できない「特定失踪者」は500名近く存在しており、その中には脱北者の情報から拉致の可能性の高い人達もかなり存在していることなどを特定失踪者問題調査会発行の顔写真つきポスターを使い説明すると、ほとんどの大使・公使らの表情が変わり説明を詳しくメモし活発に質問してくるのです。ほとんどの大使・公使らは、特定失踪者の存在を知りませんでした。それもそのはず、外務省からの英文による拉致問題パンフレットには、その記述・説明がなく、またここ数年の大使らの任期中に特定失踪者に関して説明に来る人もいなかったようです。

 このパンフレットの問題に関しては拉致議連所属のある衆議院議員を訪問した際、その場で外務省に連絡を取っていただき、後日10￿月頃のパンフレット改定時に特定失踪者問題について詳しく掲載するとの外務省からの回答を得ることができました。

 また、拉致被害者は日本・韓国だけではなく、世界12￿カ国に及ぶ人達が北朝鮮に拉致されており、一刻も早く救出するために協力を要請すると、すべての大使・公使らは驚き、いろいろ熱心に質問してきました。

 さらに拉致被害者家族である横田滋さんは2月14￿日外国人記者クラブでの私達の大使館訪問などについての記者会見と、ロシア大使・モンゴル大使との面談に参加され拉致問題の早期解決への協力を話されました。

 このような各国大使館への拉致問題についての情報提供は本来外務省の仕事のはずです。政府は、拉致認定基準を厳しくし、またこのように対外的には特定失踪者についてのPRも不足しており、「特定失踪者を見捨てて日朝国交回復を優先しているのではないか」との特定失踪者家族からの不安の声もあります。

 私達は、北朝鮮に拉致されているすべての人達が、それぞれの家族のもとに帰れる日まで今後とも継続して訴え続けてまいります。

 それが今も厳しい北朝鮮の監視体制の中で一日千秋の思いで家族のもとに帰れる日を待つ多くの拉致被害者達への同じ時代を生きる私達の使命であり、責任ではないかと思うからです。そして、二度と外国工作機関による拉致の起こらない国づくりを目指したいと思います。今後とも、ご協力を宜しくお願い申し上げます。



   【拉致問題解決への協力要請のため訪問した大使館】

     2月9日   ノルウェー大使館、ベルギー大使館
     2月11日  フィンランド大使館
     2月14日  アメリカ大使館
     2月16日  スペイン大使館、ドイツ大使館、オランダ大使館
     2月17日  イギリス大使館、ポーランド大使館、スイス大使館
     2月21日  フランス大使館、欧州連合代表部(EU代表部)
     3月4日   カナダ大使館、デンマーク大使館、チェコ大使館
     3月7日   インドネシア大使館
     3月9日   スウェーデン大使館
     3月11日  バチカン大使館(震災により中断)
     6月13日  クロアチア大使館
     6月17日  オーストリア大使館、ウクライナ大使館
     6月20日  モンゴル大使館(横田滋さん参加)ブラジル大使館
     6月21日  アイルランド大使館、ポルトガル大使館
     6月23日  韓国大使館
     6月24日  ロシア大使館(横田滋さん参加)
     6月27日  アルジェリア大使館
     7月1日   ギリシャ大使館、コンゴ民主共和国大使館、トルコ大使館
     7月5日   エストニア大使館、カザフスタン大使館
     7月11日  イタリア大使館、ナイジェリア大使館
     7月19日  タイ大使館
     7月22日  オーストラリア大使館
     7月27日  ラトビア大使館
     8月9日   シリア大使館
     8月17日  シンガポール大使館

   【要請項目】
 ① 北朝鮮との国交を活かして拉致問題について日朝交渉への協力要請
 ② 平壌の大使館での拉致被害者・特定失踪者の保護要請
 ③ 特定失踪者問題の説明
 ④ 北朝鮮の人権侵害を調査する独立調査団の国連人権理事会決議での採択協力要請



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