『総連施設への課税減免措置は違法−福岡高裁』
救う会・家族会声明
2月2日、福岡高裁は救う会熊本が熊本市長を相手に起こした訴訟で、「熊本市による朝鮮会館の課税減免措置は違法」とする画期的な判決を下した。同判決
は違法の根拠として、第1に、減免措置は固定資産の所有者に対して行うものだが、同施設の所有者は任意団体で法人格を持たない朝鮮総連ではなく、株式会社
「朝日商事」である。ところが同社は、「会社としての活動は何ら行われていない」ので「減免事由は何ら認められない」(判決、以下同じ)。
第2に、現実の利用者である朝鮮総連の活動について「公益性」を検討し、
「朝鮮総聯が、北朝鮮の指導のもとに北朝鮮と一体の関係にあって、専ら北朝鮮の国益やその所属構成員である在日朝鮮人の私的利益を擁護するために、我が国において活動をおこなっていることは明らかである。このような朝鮮総聯の活動が『我が国社会一般の利益のために』行われているものでない」。
第3に、判決は朝鮮会館が「公民館類似施設」として公益性を持っているかを検討して「『公益のために』という目的、内容の施設としてふさわしい利用状況であったかについては、大いに疑問がある」と断じている。
救う会熊本は朝鮮総連に対し特別に厳しい対応を求めているのではない。固定資産を所有するなら特別扱いせず、平等に税金を取ること、不適切な特権付与を止めて「適正化せよ」と要求しているにすぎない。
そもそも、朝鮮総連とその組織員に対する課税行政は大変不透明だった。彼らは、自分たちは1976年に国税当局と5項目の合意を交わしており「団体交渉権を持っている」などとうそぶき、所得税、法人税の事実上の減免特権を得てきた。その流れの中で1970年代以降、各自治体はきちんとした審査を行わないまま固定資産税の減免措置をとってきた。ちょうど同じ時期に、多くの日本人が日本国内から北朝鮮に拉致されていった。その中には朝鮮総連組織員が積極的に加担した事件もあった。30年近く経っていまだに多数の拉致被害者が北朝鮮で
捕われたままである。それなのに、いまだに税務上の特権が認められている。
熊本市におかれてはこの間の状況を冷静に省察し、判決の指摘を受け、速やかに課税減免措置をとりやめていただきたい。また、北朝鮮の下部組織である朝鮮総連への「適正化」は、未だに不誠実な対応をとり続けている北朝鮮への圧力と もなるもので、上告することなく、適正化に踏み切っていただきたい。
さらに、判決が指摘した3つの論点は、全国の朝鮮総連施設への課税減免が違法であると指摘している普遍性のあるものである。良識ある国民の声を無視して現在まで減免を実施し続けている多くの自治体におかれては早急に判決の趣旨を汲んで減免措置の中止を行っていただきたい。
平成18年2月7日
北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会 会長 佐藤勝巳
北朝鮮による拉致被害者家族連絡会 代表 横田滋
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